午前7:00から30名が参加して第10回webミーティングが行われました。熊本大学小児科講師の倉岡将平さん が最新の研究成果を発表し、1時間にわたって活発な議論がなされました。(2026.4.14)

We usually have a meeting on the second Tuesday of the month.
2026 (Japan time)
Jan 13 Yokoo
Feb 10 Takasato
Mar 10 Yokokawa
Apr 14 Nishinakamura
May 12 Tanigawa
Jun 9 Yokoo
July no Zoom meeting (ISSCR on July 8-11)
Aug no Zoom meeting
Sep 8 Takasato
Oct 13 Yokokawa
Nov 10 Nishinakamura
Dec no Zoom meeting (annual meeting of Molecular Biology of Japan on Dec 1-4)
セントルイス・ワシントン大学での研究留学
Washington University in St. Louis, Division of Nephrology
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
松井賢治
1.はじめに
このたび、国際先導研究「腎臓を創る」のご支援を受け、米国セントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis, WashU)Division of Nephrology の Benjamin D. Humphreys 先生の研究室にて研究留学の機会をいただいております。このような貴重な機会を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。
2.海外研究留学を志した理由
大学院時代には、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の横尾隆教授の研究室で、腎臓再生・異種移植に関する研究に取り組んでまいりました。大学院修了に際し、腎臓研究の最前線に身を置き、より広い視点から研究を深めたいと考えるようになりました。
留学先を探す際には、single-cell 解析や空間トランスクリプトーム解析などのドライ解析を実践的に学べること、また、これまでとはやや異なる分野に挑戦して研究の幅を広げられることを重視しました。実際に米国で研究生活を始めてみると、研究のスピード感、多様な研究者との交流、そして一人ひとりが高い独立性を持って課題に向き合う姿勢に、大きな刺激を受けています。
3.滞在先で取り組んでいる研究
現在は、障害後の近位尿細管に出現する failed-repair proximal tubule cell(FR-PTC) に着目し、その形成・維持に関わる転写制御機構の解明を目指しています。培養細胞、マウスモデル、RNA-seq、エピゲノム解析、近接依存性プロテオーム解析などを組み合わせ、急性腎障害(AKI)から慢性腎臓病(CKD)への移行において FR-PTC が果たす役割を検討しています。Humphreys 先生は、single-cell 解析を活用して腎障害後の修復・線維化の仕組みを明らかにしてきたこの分野の第一人者であり、先生のもとで研究に取り組めることは非常に大きな意義があります。
さらに、大学院時代に山中修一郎先生のもとで確立した新規アポトーシス誘導モデルマウスをHumphreys 研究室に導入し、現在はその実験系の立ち上げも進めています。国際先導研究の枠組みを通じて、慈恵と WashU の間で共同研究の基盤を築くことができたことを大変意義深く感じており、今後さらに発展させていきたいと考えています。
4.研究環境
Humphreys 研究室には、アメリカ、カナダ、インド、中国、日本など、さまざまな国から多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっており、日々の会話や交流からも学ぶことが多くあります。Humphreys 先生をはじめ、研究室のメンバーには渡米直後から現在に至るまで常に気にかけていただいており、安心して研究に取り組むことができています。定期的に BBQ などの交流の機会もあり、ラボメンバーとの親睦を深めることができています。こうした場を通じて、研究室の一員として温かく迎え入れていただいていることを実感しています。
また、WashUには core facilities が整備されており、トランスクリプトーム解析、遺伝子改変マウスの作製など、さまざまな分野の専門家に相談・依頼できる体制が整っています。加えて、世界的に著名な研究者によるセミナーを日常的に聴講できることも、大きな刺激となっています。
5.留学先としてのセントルイス
セントルイスは、物価が比較的安く、穏やかな環境の中で生活できる街です。留学前は治安に対してやや不安な印象を持っていましたが、実際に住んでみると郊外は落ち着いており、安心して日常生活を送ることができています。公園、美術館、動物園など家族で過ごせる場所も多く、家族連れの日本人ポスドクも多いため、生活面でも恵まれた環境だと感じています。異国の地で優秀な日本人研究者と出会い、助け合う中で強い絆が生まれていることも、海外研究留学を通じて得られた非常に貴重な財産の一つです。
6.今後の展望
今回の留学経験を通じて得た知見や視点は、今後の研究人生において大きな財産になると感じています。将来的には、国際的な視野を持ちながら、腎臓分野における新たな治療や研究の発展に貢献できる研究者を目指したいと思います。また、この経験を活かし、微力ながら次世代の若手研究者を支える存在にもなれればと願っています。
7.おわりに
最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださった関係者の皆様、そして生活が大きく変化する中で渡米を支え、日々苦楽を共にしてくれている妻に、改めて深く御礼申し上げます。

研究室BBQは突然の大雨に見舞われ、忘れられない思い出となりました。
熊本大学の谷川俊祐 講師が山口大学 細胞デザイン医科学研究所に教授として転出しました。おめでとうございます!
転出者記念セミナーの様子(2026.3.16)



All research and travel support recipients under the KAKENHI International Leading Research project “Creating a kidney” (24K23941) are required to submit the following reports by the deadline.
1. Research Summary Report
Recipients of the AY2025 Independent Research Funding for Young Researchers are required to submit Form 2.
・Deadline: Friday, April 30, 2026
・Please obtain confirmation from your PI before submission.
・Submission URL:https://prsf.kumamoto-u.ac.jp/public/h8J2QNsHQDLf3H-zEcFAz3Z896GJPbQAL9nf_o3bnc9m
2. Travel Report
Recipients who undertook project-funded travel during AY2025 are required to submit Form 3.
・Deadline: Friday, April 30, 2026
・Please use the new version of Form 3.
・Submission URL:https://prsf.kumamoto-u.ac.jp/public/g8p1Q7YHQDLGhnCu-3y9sewbq57s3EN1f2PxYiU-ngkS
・If a report for a specific trip has already been submitted, no further action is required for that trip.
Note: The submission folder URL has been updated. Please use the new link provided above.
We are now accepting applications for the AY2026 Independent Research Funding for Young Researchers. This is a unique opportunity for participants of the “Creating a kidney“ project to propose and conduct autonomous research activities throughout 2026. For detailed information, please refer to the Application Guidelines (MS Word 26KB).
・Deadline: Monday, May 13, 2026, by 5:00 PM
・Please complete Form 1 and obtain approval from your PI before submitting it.
・Submission URL:https://prsf.kumamoto-u.ac.jp/public/s8JzQaHHuTLjff9_cKG3RfLdqT5gcRY42gaU-kqIcW-q
Application / Report Forms
・Form 1 : Application Form (MS Word 24KB)
・Form 2 : Research Summary Report (MS Word 33KB)
・Form 3 : Travel Report (new version) (MS Word 48KB)
Note: Please obtain the upload password from your PI before submission.
多面的モデルを用いたARPKD嚢胞形成におけるRAC1–SPTAN1の役割解明
Shohei Kuraoka, Yuhei Higashi, Suguru Saito, Solmaz Pourgonabadi, Honami Honjoh, Sho Ishigaki, Peter C. Harris, Lisa M. Satlin, Michifumi Yamashita, Ryuji Morizane. Deciphering the Impact of RAC1-SPTAN1 in ARPKD Cystogenesis Using Multifaceted Models. Advanced Science, (2026)
doi:https://doi.org/10.1002/advs.202524001
[概要説明]
常染色体潜性多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)は、胎児期からの腎腫大および遠位ネフロン領域に生じる嚢胞形成を主徴とする遺伝性腎疾患であり、現在のところ確立された治療法は存在しません。今回、森實研究室の倉岡将平研究員らは、腎臓オルガノイドモデル(Organoid-on-chip)、遺伝子改変マウス、ヒト腎臓組織を組み合わせた多面的解析により、細胞骨格タンパク質であるSPTAN1が、ARPKDにおける嚢胞形成の重要な制御因子であることを明らかにしました。SPTAN1の低下は、RAC1/c-FOS経路の活性化および細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こし、遠位ネフロンにおける嚢胞形成に寄与していました。さらに、ARPKDモデル腎臓オルガノイドにおいてSPTAN1発現を回復させることで、嚢胞形成が抑制されることを示しました。
本研究は、ARPKDの嚢胞形成に関する新たな分子メカニズムを提示するとともに、SPTAN1がエピゲノム編集を含む新規治療戦略の有望な標的となり得ることを示すものです。
本研究成果は、科学雑誌「Advanced Science」のオンライン版に2026年2月26日に掲載されました。
*倉岡将平研究員は2020年に熊本大学発生医学研究所 腎臓発生分野(西中村隆一教授)で博士課程を修了後、2023年4月から2025年3月までMassachusetts General Hospital(Nephrology Division、森實隆司教授)にて博士研究員として研究に従事しました。現在は熊本大学小児科で小児腎臓を専門に勤務しています。
[背景]
ARPKDは主にPKHD1遺伝子変異により発症する希少な遺伝性腎疾患で、胎児期から進行する遠位ネフロン領域の嚢胞形成により腎腫大を来し、約10%の症例が生後1年以内に腎不全に至ります。嚢胞形成の詳細なメカニズムは未解明であり、根本的な治療法は確立されていません。これまでPKHD1変異マウスや腎臓オルガノイドを用いた研究が行われてきましたが、遠位ネフロンにおける嚢胞形成の再現は困難であり、ARPKD研究における大きな課題となっていました。
2022年にMassachusetts General Hospitalの森實隆司教授らは、流体刺激を付加した腎臓オルガノイドモデル(Organoid-on-chip)を構築し、ARPKD患者の腎病態の再現に成功するとともに、PKHD1欠損に伴うRAC1/c-FOS経路の異常活性化が嚢胞形成に関与することを報告しました(Science Advances, 2022)。しかし、RAC1活性化のメカニズムや嚢胞上皮の細胞起源については未解明でした。
[研究の内容]
本研究では、ヒト腎臓オルガノイド(Organoid-on-chipモデル)、遺伝子改変マウス、ARPKD患者腎組織を用いた多面的解析を行いました。PKHD1ホモ変異を有する多能性幹細胞から腎臓オルガノイドを誘導し、Organoid-on-chipモデルを適用することで、遠位ネフロン特異的な嚢胞形成の再現に成功しました。RNA-seq解析の結果、PKHD1ホモ変異ではRAC1の相互作用分子であるSPTAN1の発現が低下していることが明らかとなりました。また、ARPKD患者の嚢胞上皮においてもSPTAN1の低下が確認されました。
さらに、SPTAN1ヘテロ変異を導入した多能性幹細胞由来オルガノイドでは、遠位ネフロン特異的な嚢胞形成およびRAC1/c-FOS経路の異常活性化が認められ、PKHD1変異と同様の病態が再現されました。この表現型はRAC1阻害剤により抑制されました。加えて、Sptan1ヘテロ変異マウスにおいても、遠位ネフロンの嚢胞形成、腎腫大、およびRAC1活性化が認められました。
また、SPTAN1変異オルガノイドのRNA-seq解析ではカルシウムシグナル関連遺伝子の変動が認められ、実際に嚢胞上皮細胞において細胞内カルシウム濃度の上昇が確認されました。
最後に、PKHD1ホモ変異オルガノイドにおいてSPTAN1発現を回復させることで、嚢胞形成の抑制、RAC1/c-FOS活性の正常化、細胞内カルシウム濃度の是正が達成されました。
[成果・展開]
本研究により、SPTAN1低下を起点としたRAC1/c-FOS経路の異常活性化が、ARPKDにおける嚢胞形成の新たな分子機構であることが示されました。
さらに、ヒト腎組織のsingle-cell RNA-seq解析およびオルガノイド解析から、ARPKDの嚢胞はSLC8A1を発現するconnecting tubule(遠位尿細管と集合管の接続部)に由来する可能性が示唆されました。
本研究は、腎臓オルガノイド、動物モデル、ヒト組織を統合した多面的解析によりこれらの知見を裏付けたものであり、ARPKDの病態解明に大きく貢献する成果です。特に、SPTAN1の関与を示した初めての報告であり、嚢胞性腎疾患に対する新たな治療標的としての可能性を提示しました。今後、ARPKDに対する根本的治療の開発への応用が期待されます。
[用語解説]
・ARPKD:常染色体潜性多発性嚢胞腎。主にPKHD1遺伝子変異により発症する重篤な小児腎疾患。
・遠位ネフロン:腎臓の機能単位であるネフロンのうち、遠位尿細管から集合管までを含む領域。
・Organoid-on-chipモデル:腎臓オルガノイドをマイクロ流体デバイス上に置き、培地を流しながら培養するモデル。オルガノイドに対して流れによる機械刺激を与える。
・SPTAN1:細胞骨格を構成するスペクトリンタンパク質の一つで、細胞構造やシグナル伝達に関与する。
・RAC1:細胞骨格や細胞増殖を制御する低分子GTP結合タンパク質。
・c-FOS:細胞増殖やストレス応答に関与する転写因子。
・SLC8A1:Na/Ca交換輸送体で、細胞内カルシウム調節に重要な役割を持つ。

[図の説明]
PKHD1変異は、SPTAN1の低下を起点としてRAC1/c-FOS経路の活性化を引き起こし、嚢胞形成に至る。また、ARPKDの嚢胞はSLC8A1を発現するconnecting tubule(遠位尿細管と集合管の接続部)に由来する可能性が示唆された。これらの知見は、腎臓オルガノイド、遺伝子改変マウス、およびヒト腎組織を統合した多面的解析により明らかとなった。
午前7:00から23名が参加して第9回webミーティングが行われました。京都大学横川研究室のDarryl Kohさん (大学院生) が最新の研究成果を発表し、1時間にわたって活発な議論がなされました。(2026.3.10)

We usually have a meeting on the second Tuesday of the month.
2026 (Japan time)
Jan 13 Yokoo
Feb 10 Takasato
Mar 10 Yokokawa
Apr 14 Nishinakamura
May 12 Tanigawa
Jun 9 Yokoo
July no Zoom meeting (ISSCR on July 8-11)
Aug no Zoom meeting
Sep 8 Takasato
Oct 13 Yokokawa
Nov 10 Nishinakamura
Dec no Zoom meeting (annual meeting of Molecular Biology of Japan on Dec 1-4)
京都大学で開催されたASPIRE-MRC workshop, “Towards reconstituting human kidney development and disease in vitro”を国際先導研究として共催し、西中村、高里、谷川の3名が講演しました (2.27, 2026)
https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/ja/event/event-workshop/21490/

京都大学横川研の藤本准教授, Maさん, Kohさんが熊本大学西中村・谷川研を訪問して共同実験を行いました (2026. 2.12)




慈恵会医科大学横尾研の山中准教授と大橋さんが熊本大学西中村・谷川研を訪問して共同実験を行いました (2026. 2.10)

午前6:00から22名 (国内20名、海外2名) が参加して第8回webミーティングが行われました。理化学研究所 高里研究室の谷口純一さん(国際先導博士研究員)が最新の研究成果を発表し、1時間にわたって活発な議論がなされました。(2026.2.10)

We usually have a meeting on the second Tuesday of the month.
2026 (Japan time)
Jan 13 Yokoo
Feb 10 Takasato
Mar 10 Yokokawa
Apr 14 Nishinakamura
May 12 Tanigawa
Jun 9 Yokoo
July no Zoom meeting (ISSCR on July 8-11)
Aug no Zoom meeting
Sep 8 Takasato
Oct 13 Yokokawa
Nov 10 Nishinakamura
Dec no Zoom meeting (annual meeting of Molecular Biology of Japan on Dec 1-4)